物流業界や関連業界で使用される専門用語を紹介しています。
【あ行】
アナログタコグラフ(アナタコ)
円形のタコチャート紙(記録紙)に走行距離や速度、時間を線として記録する「アナログ式運行記録計」のこと。
アルコールインターロック
ドライバーがアルコールを飲んでいる場合にエンジンが始動するのを防ぐ。
アルコールが検出されるとエンジン始動できないようになっており、運転者の飲酒運転を未然に防ぐことができるとされている。
安全運転管理者制度
一定台数以上の自動車を使用する事業所において、事業主や安全運転管理者の責任を明確にし、道路交通法令の遵守や交通事故の防止を図るため道路交通法に定められた制度。
運行管理者
自動車運送事業で配置が義務付けられている安全輸送の責任者。運行管理者になるには、運行管理者試験に合格する、また実務経験などの要件を満たす必要がある。運行管理者はドライバーの健康状態を把握し、安全な運行を実現するための指導を行う必要がある。
運行指示書
48時間を超える中間点呼が必要となる勤務の際に必要となる書類。乗務前点呼、乗務後点呼の両方を運行管理者が対面で行うことができない時に運行指示書を作成し、それをドライバーが携行しなければならない。
運転日報(乗務記録)
運転者の氏名や運転日時、走行距離、集荷内容などを記録したもので、運転者が乗務実態を正しく把握して過労防止や過積載の防止など、安全運行を確保するために必要な書類。運行管理上の資料として活用するため、運転者に乗務記録(いわゆる運転日報)を記録させ、1年間保存をしなければならない。
運輸安全マネジメント制度
輸送の安全確保に関し従来からの各交通モードの事業法に基づく保安監査に加え、運輸事業者の自らが経営トップから現場まで一丸となり安全管理体制を構築・改善することにより輸送の安全性を向上させることを目的とした制度。平成18年10月に導入された。
エコドライブ
燃料消費量やC02の排出量を減らし、地球温暖化防止につなげるための運転技術や心がけのこと。エコドライブを行うことで、燃費向上、事故防止、地球温暖化防止につながるといわれている。
オンプレミス
サーバーやソフトウェアなどの情報システムを使用者が管理する設備内に設置し、運用することを指す。(自社運用ともいう)もともと企業におけるシステム構築は、オンプレミス型が主流で、わざわざ「オンプレミス」という呼び方もされていなかったが、後にクラウドという運用形態が登場し、それと明確に区別する為にこの呼び方となった。
【か行】
加速度センサー
物体の振動や運動における加速度を測定するセンサー。加速度とは、一定の時間ごとにどの程度速度が変化しているかで決まるもの。加速度を測ることで、進んでいる方向や、人間が歩いた歩数や、物体が向いている方向(横向きか縦向きか)などを判断できる。
改善基準告示
「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」(厚生労働大臣告示)のことを言い、自動車運転者の長時間労働を防ぐことは、労働者自身の健康確保のみならず、国民の安全確保の観点からも重要であることから、トラック、バス、ハイヤー・タクシー等の自動車運転者について、労働時間等の労働条件の向上を図るため拘束時間の上限、休息期間等について基準が設けられている。
稼働率
保有する車両がどの程度使われているのかを把握するための指標。
稼働率(%)=車両の稼働時間÷年間総時間×100
求貨求車
目的地まで貨物を運び終わった帰りの便などでトラックの荷台が空いている輸送会社・運送会社の「車輌情報」と、運びたい貨物があるがなんらかの理由により車両が手配ができず輸送が困難な状態に陥っている荷主(事業会社など)の「貨物情報」を活用し、適切な配車手配を行うものである。
クラウド
利用者がサーバーやソフトウェアを持たなくても、インターネットを通じて、サービスを必要な時に必要な分だけ利用することができること。インターネット(雲)の向こう側のサービスを利用していることから、クラウド(cloud=雲)と呼ばれるようになったといわれている。
拘束時間
実労働時間(所定労働時間+残業)と休憩時間を合わせた時間のこと。労働時間だけではなく、休憩時間まで含めた、会社の監視下に置かれている時間のことを指す。
【さ行】
36(サブロク)協定
労働者に法定労働時間を超えて労働させる場合や、休日労働をさせる場合に、企業と労働者の間で協定を結ぶこと。労働基準法第36条に定められた労使協定であることから、通称「36(サブロク)協定」と呼ばれている。36協定は、労働者の過半数で組織する労働組合、または労働者の過半数を代表者と書面で協定を結び、所轄の労働基準局監督署長に届出をする必要がある。
ジオフェンス
正式名称は「ジオフェンシング(英: Geofencing)」と呼ばれ、実世界の地理に対応した仮想的な境界線で囲まれたエリアのことをいう。GPSによる位置情報を利用し、設定したエリアの出入りや一定時間以上の滞在をトリガーにアクションを行う技術である。
実車率
車両の総走行距離に対して、実際に荷物を積んで走行した距離の割合のことを指す。
実車率=実車距離÷全走行距離×100
スマートIC(スマートインターチェンジ)
高速道路の本線上またはサービスエリア、パーキングエリア、バスストップに設置されている、ETC専用の簡易構造のインターチェンジ。通行可能な車両(料金の支払い方法)を、ETCを搭載した車両に限定しているため、簡易な料金所の設置で済み、従来のインターチェンジに比べ低コストで導入できるメリットがある。
スピードリミッター
原動機(エンジンやモーターなど)の運転最高速度を制限あるいは制御する装置。日本で製造販売されている自動車車両には、安全の観点から法律や業界自主規制により、スピードリミッターが設定されており、設定された速度に達した場合は、指定速度以下となるまで、エンジン出力を抑えるようになっている。
【た行】
タコグラフ・タコメーター
自動車に搭載される運行記録用計器の一種であり、「時間・距離・速度」を記録し、運転者がどのような運転を行っているのかを記録する法令で定められた装置。事業用などに用いられる車両については、タコグラフの装着義務がある。
デジタルタコグラフ(デジタコ)
自動車の走行時間や走行速度、走行距離などの運航データをデジタルデータとして記録する「デジタル式運行記録計」のこと。
ドライブレコーダー(ドラレコ)
映像・音声などを記録する自動車用の車載装置のこと。主に自動車事故発生時の映像など状況記録を目的に設置される。
テレマティクス
移動体に移動体通信システムを利用してサービスを提供することの総称。日本においては、「自動車・輸送車両などへの情報提供サービス」の意味で用いられることもある。
動態管理
車両や現場担当者の状態をリアルタイムで可視化し、管理するシステム。管理者がオフィスにいながらパソコン上で車両やドライバーの動きを把握し、必要に応じて指示を送ることができる。また走行ルートや到着予想などもできる。
トンキロ
貨物の輸送量を表す単位のことで、貨物の重量(トン数)にそれぞれの貨物の輸送距離(キロメートル)を乗じて算出する。
輸送トンキロ=輸送トン数×輸送距離
【な行】
日常点検
走行前に車両に異常がないかチェックをおこなうこと。確認することで未然にトラブルや事故を防ぎ、安全に走行するためにおこなうもの。実施は法律で義務付けられており、点検記録簿は1年間保存しなければならない。
荷主
商品の輸送・保管・物流業務の依頼主のこと。荷物の出し手を「発荷主(はつにぬし)」、荷物の受け取り手を「着荷主(ちゃくにぬし)」と区別している。
荷姿
荷物を輸送する時の外観の状態を指す言葉で物流業界で一般的に使用されている。密閉箱、すかし箱、パレット梱包など、様々な種類がある。
荷待ち時間
荷物の積み・卸しの時にドライバーが待機している時間。荷主や施設の都合によって待たされる時間。荷待時間により、ドライバーの長時間労働にもつながり、2017年に乗務記録へ荷待時間の記録が義務付けられた。
【は行】
ピッキング
物流・倉庫管理の業務で、伝票や指示書に基づいて商品を選別し取り出す作業のこと。ピッキングには、「シングルピッキング(摘み取り)」と「トータルピッキング(種まき)」の2種類がある。
付帯業務
売上や利益に直結するメイン業務でとは違い、それ自体では売上や利益を生み出さない業務。
ファームウェア
電子機器に組み込まれたコンピューターシステム(ハードウェア)を制御するためのソフトウェア。
ブラックボックス
交通事故の直前と直後の瞬間の車の動きを記録するイベントデータレコーダー(EDR)のこと。
速度やアクセルの踏み込み具合、ブレーキ操作の有無、ハンドルの切り角、加速度、エンジン回転数、ABS作動の有無、シートベルト着用の有無等の車両運行データを常時記録する装置。
法定点検
本来の走行性能を維持し、故障や不具合がないかを確かめる検査。道路運送車両法 第48条(定期点検整備)によって定められた運転者の義務。
ホワイト物流
物流業界において、生産性の向上や物流の効率化を推進し、健全で安心して働ける労働環境の実現を目指す取り組み。
【ま行】
マテハン(マテリアルハンドリング)
物流や製造の現場で使われる言葉で、製造に用いる材料、部品、半製品などの物品の移動、搬送、取付け、取出し、仕分けなどの作業及びこれに伴う作業のことをいう。
モーダルシフト
貨物輸送を鉄道や船舶の利用へ変換することをいう。トラックの輸送に比べ、CO2排出量が大きく削減できるメリットがあり、SDGsへと貢献することができるといわれている。
【や行】
傭車(ようしゃ)
自社の車両が不足した時に、一時的に他の運送会社の車両を借り受けて自社の仕事を依頼することをいう。 「傭兵+車=傭車」から生まれた造語。
【ら行】
リードタイム
商品を発注してから納品されるまでの時間・日数を意味する言葉。似た言葉で「納期」があるが、「リードタイム」が期間を示すのに対し、「納期」は納品期限日を指していて具体的な日付で示される。
リスク・マネジメント
企業や組織の経営・運営に影響を及ぼすリスクを管理し、予想される損失の回避や軽減を図ること。
ルート配送
あらかじめルート(道順)が決められており、商品を倉庫から積み込み、決まっている取引先へ荷物を届けることをいう。
ロジスティクス
原材料調達から、生産・販売に至るまでの物流、それを管理する過程をいう。もともとロジスティクスは兵站(へいたん)を表す軍事用語であった。軍事用語としては、作戦計画に従って兵器や兵員を確保し、管理し、補給するまでの全ての活動を言う。前線で戦闘に従事する前方業務に対して、後方業務または後方支援と呼ばれる業務領域を指す。その後、産業構造の高度化により、ビジネス用語としても用いられるようになった。
【わ行】
輪留め・輪止め
停車したトラックが動かないように、車輪に固定する装置のこと。プラスチック製・木製が主流で、坂道の停車やサイドブレーキの引き忘れ、ブレーキの劣化、その他もらい事故の追突などによって、車が勝手に動いて人や建物に衝突する事故を防ぐために安全上、重要な装置。
ワンストップサービス
複数の場所や担当に分散していた関連する手続きやサービスなどを、一ヵ所でまとめて提供するようにしたもの。行政が関連する手続きの窓口を一本化することや、企業が様々なサービスを一体的に提供することなどを指す。
【A・B・C・D・E】
3PL(サード・パーティー・ロジスティクス)
荷主企業に代わり、最も効率的な物流戦略の企画立案や物流システムの構築の提案を行い、かつ、それを包括的に受託し、実行すること。
API(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)
「アプリケーション・プログラミング・インターフェース(Application Programing Interface)」の略称。
アプリケーションやソフトウェアとプログラムの間をつなぐインターフェースのことを指す。
あるソフトウェアやプログラムが持つ機能や情報を、別のプログラム上でも利用できるように繋ぐ仕組み。
DX(デジタルトランスフォーメーション)
「デジタルトランスフォーメーション(Digital Tranceformation)」の略称。
2018年に経済産業省が公表した定義では、「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」とある。
ELD(エレクトリックロギングデバイス)
米国では貨物輸送を担うトラック車両にELD(Electronic Logging Device)を使うことが2018年から義務化されている。電子ログ記録装置のことで、日本でいう運行記録計と同じもの。
【F・G・H・I・J】
GPS
GPSは「Global Positioning System」の略称で、直訳すると全地球測位システムという。人工衛星の電波を端末が受信して現在の位置情報を表示するシステムで、もともとはインターネットと同様に軍事用に開発されていたシステム。
Gマーク制度(貨物自動車運送事業安全性評価事業)
利用者が安全性の高い事業者を選びやすくする等の観点から、輸送の安全の確保に積極的に取り組んでいる事業所を認定する制度。国が貨物自動車運送の秩序の確立のために指定した機関(全日本トラック協会)が38の評価項目を設定し、同機関内の安全性評価委員会において認定している。
IoT
「Internet of Things」の略称で、日本語ではモノのインターネットと訳される。
インターネットに接続されていなっかた様々な「モノ」をインターネットに接続し、相互に情報交換をする仕組みのこと。
ISA(インテリジェント・スピード・アシスト)
「Intelligent Speed Assistance」の略称でスピード違反防止システムのこと。
自ら道路標識や地図情報を確認して制限速度を判断し、ドライバーに知らせたり、アクセルペダルを重くして自動的に速度調節したりする機能。
【K・L・M・N・O】
Mate’s receipt(メーツレシート)
運送品の船積みがなされた場合に,船長が運送品の種類、数量、状態を記入して荷送人に交付する証書。本船受取証、積荷受取書ともいう。荷送人はこれを船主に呈示し引換えに船荷証券の発行交付を受ける。
【P・Q・R・S・T】
SaaS(ソフウェアアズアサービス)
「Software as a Service」の略称で、「サース」または「サーズ」と呼ばれる。サービス提供事業者(サーバー)側で稼働しているソフトウェアを、インターネットなどのネットワークを経由して、ユーザーが利用できるサービス。
SIM(サブスクライバー アイデンティティー モジュール)
正式には「Subscriber Identity Module」。英語の頭文字をとって「シム」と呼ばれ、日本語では「加入者識別モジュール」という意味で、スマートフォンやIoTデバイスに搭載するためにカードやチップといった形態で提供されている。SIMには固有のID(番号)が付与されており、加入者を特定するための契約者情報が記録されている。
SEO(サーチ・エンジン・オプティマイズ)
「Search Engine Optimization」の略称で、日本語では「検索エンジン最適化」と訳される。
検索エンジン内であるキーワードを検索した際に、自分達のサイトやブログなどを上位に表示させることで、検索エンジンを使ったマーケティング戦略の一つ。
SCM(サプライチェーンマネジメント)
サプライチェーンとは、原材料の調達から消費者に商品が届くまでの流れのこと。サプライチェーン全体で物と金、情報の流れを共有し、連携して全体の最適化を図る手法のことを、サプライチェーンマネジメントという。サプライチェーンマネジメントをおこなうことで、需要予測などの情報をサプライチェーン全体で共有できるようになり、経営に大きな影響を及ぼす過剰在庫の発生を防ぐことができる。
【U・V・W・X・Y・Z】
UI(ユーザーインターフェイス)
「ユーザーインターフェイス(User Interface)」の略称。
一般的にユーザー(利用者)と製品やサービスとのインターフェース(接点)すべてのことを意味する。
UX(ユーザーエクスペリエンス)
「ユーザーエクスペリエンス(User Experience)」の略称。
ユーザーが製品やサービスなどの利用を通じて得られる体験のこと。
WMS(ウェアハウスマネジメントシステム)
倉庫管理システムのことで「Warehouse Management System」の略称。
WMSは入荷・出荷・保管という倉庫内の業務について、バーコードリーダーなどを用いて作業の精度と効率化を支援する仕組み。近年、物流の人手不足がクローズアップされており、作業進捗や生産性の可視化、物流ロボット・AI(人工知能)・センサーなどデジタル技術の活用がキーポイントに挙げられる。