法改正・規則

トラック運送業の改善基準告示改正について解説

厚生労働省の有識者検討会で、トラック・バス・タクシー等の運転手について、長時間勤務による過労対策として勤務時間を見直すことが決まりました。ここでは、2024年施行の改善基準告示概要と、変更のポイントを解説します。

改善基準告示とは

改善基準告示とは、「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」(厚生労働大臣告示)のことを言い、自動車運転者の長時間労働を防ぐことは、労働者自身の健康確保のみならず、国民の安全確保の観点からも重要であることから、トラック、バス、ハイヤー・タクシー等の自動車運転者について、労働時間等の労働条件の向上を図るため拘束時間の上限、休息期間について基準等が設けられています。

働き方改革関連法により、自動車運転の義務にも時間外労働の上限が設けられた(2024年3月31日まで適用猶予)ことから、改善基準告示においても、当該上限規制に合わせ、拘束時間、休息時間等について見直しが行われました。

改善基準告示は、法定労働時間の段階的な短縮を踏まえて見直しが行われた1997年以降、改正は行われていませんでしたが、2022年12月に自動車運転者の健康確保等の観点により見直しが行われ、拘束時間の上限や休息期間等が改正されました(2024年4月1日施行)。

改善基準告示はいつから改正されるのか

自動車運転者の労働時間等の改善のための基準(改善基準告示)は、「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準の一部を改正する件」(2023年厚生労働省告示第367号)により2023年12月23日に改正され、2024年4月1日から適用されます。

改善基準告示改正内容

従前の基準と比べ、ドライバーの拘束時間の上限が短縮されました。また、勤務と次の勤務の間に必要な休息期間(インターバル)が延長されました。

トラック運送業に関係する現行の基準と改善される内容を解説します。

拘束時間

始業から終業までの休憩時間等を含めた時間を拘束時間と言います。

拘束時間には、労働時間、休憩時間も含まれます。

運転時間

運転時間の定義は以下のようになっています。

一運行の運転時間:1人の運転者が回送運行を含む一運行で運転する時間をいう。
1日の運転時間:1人の運転者が回送運行を含む1日の乗務で運転する時間をいう。

休息期間

1日の拘束時間(勤務)が終わり、次の勤務が始まるまでの時間のことをいいます。 勤務と次の勤務時間の間で睡眠時間を含む労働者の生活時間とされており、労働者にとって自由な時間をいいます。

休憩時間と休息時間は違い、休憩時間は仕事中の身体を休める時間で勤務内、休息時間は仕事を終えて次の勤務までの時間のため勤務外の扱いになります。

休日時間

休日は、休息期間+24時間の連続した時間をいいます。

時間外労働

改善基準告示とは別に、2024年4月より時間外労働に対して年間960時間の罰則付き上限規制が適用されます。ただし、休日出勤は時間外労働の範囲には含まれません。

2019年4月(または2020年4月)から適用されている企業とは違い、運送業は働き方改革の本格的な適用までに猶予期間が設けられています。他業種と比べて時間外労働や休日労働が多く、労働環境を改善するには時間がかかると判断されたことが背景にあります。

予期し得ない事象への対応時間の取扱い

様々な規定が改正されるに伴い、運行状態をなるべく早めに把握し月の途中でも改善をしていくことが重要になってきます。

改善基準告示改正については厚生労働省労働基準局監督課よりQ&Aも出ていますので、事前に不明確な部分を確認しておきましょう。

▼改善基準告示に関するQ&A

https://www.mhlw.go.jp/content/001082040.pdf

改善基準告示に違反した場合の罰則

改善基準告示違反に法的罰則はありません。
しかし国土交通省から行政処分が下される可能性があります。
行政処分の内容は、一定期間の車両の使用の制限や一定期間の事業停止などがあります。

事業者にとっては大きな損失になるため、改正基準告示の内容を確認し、ドライバーの労働環境を整備する必要があります。

改善基準告示改正に伴う物流業界の課題と対策

懸念される問題

・トラックドライバーの不足

今までどおりの輸送をおこなうためには、ドライバーの増員も必要になってきます。物流業界は慢性的に人手不足が続いている中、人材の確保が困難な状況になると予想されます。

・運送会社の売上、利益の減少

拘束時間や時間外労働の改正により、今までのような輸送ができなくなります。輸送量が減少するため、会社全体の売上や利益の減少が予想されます。

・物流コストの上昇

2024年問題における対応は運送会社だけではなく、荷主企業においても求められます。運送会社の売上、利益の減少に伴い、運賃の見直しが発生し物流コストの上昇が予想されます。それ以外でも輸送頻度の低下、輸送日数の長期化等で希望日に荷物が届かなくなる、専用便や特殊荷物を受けてもらえないなど、荷主企業側にも大きな影響が出ると予想されます。

2024年4月に向けての対策

2024年問題に対して様々な対策を講じる必要があります。例えば下記のような対策があります。

・業務の効率化(システム化、DX推進)

業務効率化をするためには、まずはアナログ管理からの脱却です。紙での管理、手書きの日報をエクセル等へ打ち込む等の作業を改善する必要があります。まずは身近なものからデジタル化していくことをおすすめします。デジタル化はいっきに変革させようと思うと従業員からの反発もあったりとなかなか定着しないため、少しずつできるところから変革し、システムに慣れていくことから始めましょう。システム化することで、今までの業務時間を短縮し別の業務へ時間をかけることができるようになります。

・人材の確保

人材を確保するためには、まずは「この会社で働きたい」と思ってもらえるかが重要です。労働環境や待遇面を見直すことから始めましょう。賃金体系の見直し、時短勤務、福利厚生の充実、女性が働きやすい環境整備等、様々な選択肢を考え、PRしていくことが重要です。

・輸送形態の見直し

輸送できる時間が限られ人材も不足している中、輸送形態を見直すことも効果的な対策です。すでにリレー運送や幹線輸送と集荷・配達を別のドライバーが担当するなどの取り組みを進めている企業もあります。また、荷主企業の対策として、一部区間を鉄道や船舶輸送へ切り替えをするといった取り組みもあります。

改善基準告示改正、働き方改革関連法改正により、様々な問題が生じると予想され、それに対する対応策を企業でしっかり準備しておくことが重要です。

デジタコで時間管理・見える化

業務の効率化にかかせないのが、デジタルタコグラフです。

近年運行状況をリアルタイムに把握でき、ドライバーに指示ができるクラウド型が主流になっています。早期に状況を把握し改善ができるため、未然に違反等を防ぐこともできます。

OCTLINK(オクトリンク)は低価格でありながら、2024年問題に対応した各種機能も揃っているので、デジタコにこれからしようという事業者にもおすすめのデジタコです。

運行見える化ボード(ダッシュボード機能)

運行管理に必要な情報を集約して可視化されているダッシュボードです。

拘束時間超過予測

設定した拘束時間の上限時間に対し現時点での拘束時間累計時間と予測拘束時間が集計されます。(月単位)ボタンひとつで運行が終了しているところまでの状態を確認できます。

時間外労働超過予測

設定した時間外労働時間の上限時間に対し現時点での時間外労働時間の累計時間と予測時間外労働時間が集計されます。(月単位)ボタンひとつで運行が終了しているところまでの状態を確認できます。

帳票を出力し時間を計算する、という手間もなく、誰がみても一目で状況の把握ができ、運行の改善に役立ちます。

乗務員労働実績表

ドライバー毎の月間の拘束時間、労働時間等の集計がされている帳票です。

運行単位で確認でき、インターバル、連続運転超過、2日平均運転時間も確認することができます。

改善基準告示超過表

改善基準告示の項目ごとに自動的に違反件数が集計されている帳票です。(下記サンプルは改正前の現行の内容で算出されています。)

月の途中でも出せるため、現在の状況をすぐに確認することができます。

物流業界は2024年4月から改善基準告示改正、働き方改革での時間外労働上限規制が適用されます。各事業者は労働環境の改善を急がなければいけません。OCTLINK(オクトリンク)では運行を見える化し、まずは現状の把握ができるような機能を備えています。2024年問題対策を検討中の方はぜひお問い合わせください。

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